Quantcast
Channel: 月影の宵/IN THE EVENING BY THE MOONLIGHT
Viewing all articles
Browse latest Browse all 331

THE BEATLES 「Stereo Vinyl Box Set」⑦

$
0
0

$月影の宵/IN THE EVENING BY THE MOONLIGHT


ビートルズファン 音楽ファンだけに御好評頂いている
「THE BEATLES 「Stereo Vinyl Box Set」
第7回は1967年にアメリカ、キャピトルレコードより発売された
「Magical Mystery Tour」をお届けいたします。

マネージャーのブライアン・エプスタインの死後、
ポール・マッカートニーが主導権を握って制作した
カラー16ミリフィルムのテレビ用映画のサウンド・トラック盤です。

映画は特にストーリーも脚本も無く
「マジカル・ミステリー」号に乗った乗客とビートルズが
織りなす幻想的でシュールな世界。

巨漢の女性に、ジョン・レノンがスコップで料理を掬って
食べさせたり、どんな乗り物を使用してもよいマラソン大会に参加したり、
ストリップ劇場を鑑賞したりと、その合間にビートルズの
元祖プロモーションフィルムが流れると言った55分のフィルムです。

英国では1967年12月26日 白黒で国営BBCより放送され
数日後、カラーで放映されました。

日本では、ビートルズと親交が深かった、当時「ミュージック・ライフ」
編集長の「星加ルミ子」さんが直接ビートルズと交渉し
尽力され、ポールが好意的に交渉に乗ってくれたため、
昭和43年9月28日、日本武道館で上映され
地方のビートルズファンの為にと、同年、10月6日に
お菓子のメーカー「不二家」がスポンサーとなって
夜のゴールデン・タイムにTBSより放映されました。

しかし、放送を見た星加さんは絶句。
2本上下巻のフィルムをTBSが謝って下から放映し
難解な内容が更に難解になり、星加さんが直ぐに指摘、
系列局の放映を見た全国のビートルズファンからも
「良く解らなかった」という意見が放送局と
「ミュージック・ライフ」編集部に殺到。
TBSは謝罪を含め、10月10日に改めて再放送したそうです。

本国での評価も「ビートルズも人間だった」
「ビートルズのマジックは失敗」「愚かなホーム・ムービー 伝説の終焉」等
酷評されました。
今ではプロモーション・フィルムの先駆けと高く評価されていますが
私が初めてこの映画を見たのは、昭和58年頃、
今は無き、「新潟市公会堂」で行なわれた「ビートルズ復活祭」に
仲良くさせてもらい、「新潟高校」に進学が決まった
斎藤・松田先輩と3人で見に行った時が初めてで
コマ飛び・音とびの酷いボロボロのフィルムが泣かせる
難解で退屈なフィルムと記憶しています。

やはり、今高画質のDVDで見ると、ビートルズの
演奏シーンのフィルムは、当時のサイケデリックで幻想的
前衛的な初めての試みが満載で、十分楽しめます。

英国では映画に使用された曲のみ、2枚組EPのコンパクト仕様で
モノラル・ステレオが両盤が1967年12月8日に発売。

米国では4曲入りのEPコンパクト盤は普及しなかったので
映画に使用された6曲と当時最新のシングル3枚
(I Am The WalrusのシングルA面がHello, Goodbye)をB面に収録し
LPとして英国より10日早い1967年11月27日に発売。
ビルボード・アルバムチャートで、8週連続NO1を記録しました。

尚、このLP発売時、「Penny Lane」「Baby You're A Rich Man」
「All You Need Is Love」はステレオミックスが制作されていなかったため
ステレオ盤はキャピトルが作成した「疑似ステレオ」で収録され
ステレオミックス製作後も差し替えることなく、1987年のCD化まで
そのまま使われていました。

日本ではキャピトルと同一のLPが昭和43年12月5日
東芝音楽工業から発売されました。
2枚組のEPもしばらく発売されていましたが
初版のオデオン帯付き、曲目表付き、赤盤は現在、極入手困難な
超レアアイテム 帯は数百枚しか付属されなかったようで
最低でも70万は下らない物とされています。
貴方の家に、当時。お父さん お母さんが買ったEP
眠っていませんか?


1987年、ビートルズのLPがCD化される中で
唯一アメリカ盤がCDになったのがこのアルバムです。



さて、聴き比べです。
このアルバム、キャピトルのオリジナル・モノラル盤が
分厚い音の塊で、迫力があるのですが、
ステレオ盤の聴き比べなので割愛させていただきます。
このモノラル盤、残念なのが、「Penny Lane」「Baby You're A Rich Man」
「All You Need Is Love」は疑似ステレオを再度モノラルに
していて、この3曲のみ音が非常に悪いのが残念です。


$月影の宵/IN THE EVENING BY THE MOONLIGHT


聴き比べするのは「Hello, Goodbye」と「Strawberry Fields Forever」
あえて映画に使用されていない曲にしました。

先ずは昨年末に発売された、2009年のデジタルリマスター
音源を使用した、アナログ盤です。
「キャピトル・レーベル」です。やはり雰囲気が出ます。
「Hello, Goodbye」ポールのボーカルが中央で鳴ります。
リンゴのドラムのスネアがザクッと良い感じです。
中間の右チャンネルからのコーラスは若干音の出方が大人しいです。
ベースの音も良く出ていますが、全体的にしっとりしています。
整った印象です。

その後、2009年のCDを聴くと、これまた違いますね。
リンゴのスネアの音がCDの方がリアルにザックと響きます。
音像がアナログより輪郭が際立つ感じです。
スネアの音は金属ぽく、多少煩く感じます。
ポールのボーカルはやや大人しい感じ。
「Strawberry Fields Forever」の冒頭のリンゴのドラム
迫力あります。アナログは全体のバランスが均一で良いです。
CDの音も良いのですが、楽器によって鳴り方のバランスが
耳につく箇所が有ります。綺麗過ぎるきらいが多少あるようにも思えます。


$月影の宵/IN THE EVENING BY THE MOONLIGHT


2004年に、1987年のデジタルリマスターを使用して
発売した限定アナログ。先回の「アビーロード」を酷評した
シリーズの1枚。買った時一度聴いた位でした。
今回も大変期待していません。
しかし、「これは」と驚きました。
ポールのボーカルが前面に、しかも中央から膨らみをもって
私の目の前に現れました。驚きました。
ポールが楽しそうに歌っています。
リンゴのスネアの音も凄みを増して叩きつけるような迫力が有ります。
中間の右チャンネルからのコーラスも良く聞こえます。
ベースや中音域の膨らみは、2009年盤が良いですが、
この盤は大健闘しています。
こちらの盤の方がボーカルが良いので
好みかも知れません。「Strawberry Fields Forever」も同様でした。



$月影の宵/IN THE EVENING BY THE MOONLIGHT


最後は、東芝EMIが昭和52年頃から、CDに移行するまで
発売していたEAS規格、通称「旗帯」シリーズの
高校2年の時に購入した物です。

低音が薄いです。音も痩せた感じに聞こえます。
高域が強いので、リンゴのドラム、ハイハットの音が
煩く聞こえます。ボーカルの張りは良いです。
しかし、なかなか健闘していると思います。
物凄く酷いと言う音じゃ無いです。「ドンシャリ」な音。
昔はこれをアンプのトーンコントロールの
低音と高音を最高にして聴いていて不満を感じた事は無かったです。
例の3曲の疑似ステレオ、久しぶりに聴きました。
当時は非常に音が悪くて嫌でした。
今は逆にノスタルジックに聴こえてきます。不思議です。
音は悪いけれど、何か心に引っかかる音に響きます。

細野晴臣さんが「録音も文句なく良く、ビートルズの
中期のベスト盤的内容」と仰っていましたが
同年の「SGT.Pepper's Lonely Hearts Club Band」の姉妹編と言った内容です。

エプスタインが亡くなり、コンサート活動を辞め、スタジオ制作に没頭し始めた頃の
ビートルズは創作意欲も尋常じゃ無かったようですね。
しかし、これは数年後、グループ崩壊への序曲となるのは
皮肉な物です。




Viewing all articles
Browse latest Browse all 331

Trending Articles