昭和48年 東映 東京撮影所作品
監督:佐藤純彌
脚本:神波史男、松田寛夫
撮影:仲沢半次郎
音楽:日暮雅信
出演
安藤昇、梅宮辰夫、
小林稔侍、葉山良二、
室田日出男、
渡瀬恒彦、待田京介
「のしん」さんから、この映画がDVDとして発売される事を
教えていただき、押し入れからVHSを引っ張り出して
本当に久しぶりに鑑賞した。
初めて夜中に一人で見た20数年前の、見終わった後の
俺は何も悪い事をしていないのに、罪悪感を感じ
後味の悪い思いがしばらく消えなかったおぞましい映画。
なんでこんな惨い映画が『成人指定』にならなかったのが不思議!!!
内容と言えば、復員後、早々に中国人やくざと喧嘩になり重傷を負った安藤昇。
言わずと知れた、昭和30年代の渋谷を縄張りとした「東興業」後の『安藤組』
組長となる元・本職。
パンスケ{町の売春婦}に「幾らだ?」と聞いたところ
「戦争で負けたくせに!アタイは米兵しか相手しないんだよ」と
罵られ「好きで負けたんじゃねー」とパンスケを空き地に引きずり込み
青空の下で強姦。米兵二人に見つかり、ボコボコにされた辰兄。
戦前からの地元の博徒、葉山良二
しかし、本当の主役は・・・・・・・・・
渡瀬の恒さん!!
しかし、セリフはホンノ数行。
復員してきたのに、女房は黒人米兵の売春婦になっていた。
階段の下から聴こえてくる妻のあえぎ声を耳で塞ぎ発狂寸前の恒。
その恒を見つけた女房は一瞬喜びの表情を見せるが
その現実を理解する間もなく、恒は烈火の如く女房を殴る殴る。
しかし、その横には、黒人との間に生まれた私生児が!!
「それだけは辞めて」と泣き狂う女房の言葉など、聞えるわけは無く、
2階の窓から下に子供を投げ捨て、女房を下に引きずり出し
溜め池の様なところで、女房の頭を何度も石で叩いて殺す恒さん。
女房のペンダントが割れ、その中には恒さんの写真が・・・・・・
安藤・辰兄・葉山が意気投合し、その各人の子分を合わせて
「銀座警察」と恐れられた、実在の組織の誕生と崩壊を
アナーキーに描いたもの。
当時、銀座を支配していた待田京介に辰兄が喧嘩を売る。
そして、京介の舎弟を辰兄が脅してスパイにさせる。
脅す工程が辰兄らしい。その舎弟が面倒を見ていた
母子家庭の女学生を舎弟の前でレイプし
「コノ女 パンスケにさせても良いのか?」
仕方なく辰兄のスパイとなった京介の舎弟は情報屋に。
そんな時、落ちている食べ物を拾い漁っていた恒さんが
パンスケと衝突して小競り合いに。
パンスケと一緒にいた黒人兵の顔と、女房の私生児の顔がクロス、
唐突にナイフで黒人兵の顔を斬りつけ、MPに追われる恒さん。
逃げ込んだのが先が悪かった。葉山のアジト。
「これやれば元気になる」とヤクの洗礼。
次第にヤク欲しさに葉山の殺人マシーンと成長する恒さん。
先ずは京介の舎弟が京介をおびき出し、恒さん 京介を射殺。
その頃、辰兄は葉山のアジトで京介の愛人をレイプした時の
話しを面白おかしく解説。
「最初からあっちこっち涎垂れまくりでよ 膝小僧が擦り切れるほど
ワンワンスタイルでやってよ こっちの身が持たなかったぜ」
警察が乗り込んできて「お前ら、1時間前はどこでなにをしていた」と
聞かれれば「ワンワンスタイルの話しで盛り上がってましたぜ」と能天気。
その後、銀座を制圧した彼らでしたが、あくどい事で私腹を肥やす
内田朝雄と田口計が葉山に月5万で後ろ盾になって欲しいと頼みます。
機嫌良く了解する葉山でしたが、今度は安藤の一派が
内田と田口が公金を横領している事実を掴み「500万だせ」と恐喝。
内田から安藤一派の話しを聞いた葉山は激怒し
殺人マシーン 恒さんに安藤の狙撃をヤクで命令しますが
ヤク立たずに終わり失敗。
恒さんは全身ナイフでめった刺し その後銃弾を体中に浴び
仕上げに生き埋めにされます。
誰もが恒さんが死んだと思っていましたが・・・・・
ゾンビのように這い上がります。
葉山は子分に「タバコ買ってこい」と命じ、お金の催促をされて
激高し、嫌がる子分と一緒にアメブロでお馴染み「掘田真三」さんに
ヤキを入れる程のセコイ男。
一方の安藤は、子分の小林稔侍の誕生日の皮靴をプレゼンするほどの
大物ぶりで子分から慕われ、稔侍の恋人、藤浩子が妊娠しているのを
見抜いて「直ぐに結婚しろ」と豪華披露宴を開催。
因みに写真 一番左は「タコ八郎」さんです。
しかし、その祝いの場に恒さんが乱入し
安藤、稔侍、そして新婦の浩子までも射殺。
純白のウエディングドレスが真っ赤に染まります。
そして、恒さんも恒例の大吐血 が死にません。
安藤一派が壊滅し、辰兄と葉山は、内田と田口から金を引き出そうと計画
「500万持ってこい」と脅します。
しかし。実際には450万しかなく、「50万位いいじゃないか」と
宥める辰兄の意見も聞かず、葉山は更に二人をボコボコに。
熱湯たぎる鍋の中に内田の手を入れたり
おぞましいリンチの場面がフリージャズの音色の中繰り広げられます。
「解った もう500万出すから許してくれと」嘆願する田口。
明日まで持ってこい 約束だ」と言う葉山。
しかし、辰兄は内田と田口が目と目で合図している所を見逃しませんでした。
「おい おまえら本当は幾ら公金を流用したんだ」
「3千万円です」「本当か」
「嘘じゃありません 本当です」
追加の500万円を持ってこさせるため、田口を釈放。
しかし、翌日の新聞の一面には、田口の写真と
「公金1億流用」の見出しが。田口は自首してしまいました。
怒った葉山と辰兄 内田に金のありかを問いただしますが
「ワタシ シラナイ アンタタチ タイホサレル」
投げ飛ばされる内田 なんと大切な恒さんのヤクが入った
瓶がヤク共々粉々に・・・・・・
怒った恒さん 内田を殴り殺します。
死体は豚小屋の中に放り込まれ、美味しそうに内田の
肉を食べる豚さん達。
故・内田朝雄の俳優人生で、最も惨めな役柄ですが
そこはプロ 食べられるシーンも一切手抜きなしで
豚と戯れています。
逮捕される事が決定的になった葉山 辰兄 その子分達。
450万の入った金庫の前で『組の再建資金にする』と
金庫から離れない、自分の事しか考えない性格の悪さを改めて露呈。
一方の辰兄は「こんなの牢屋に入ったら紙くずだぜ
今の内、やりたいだけやって、腹膨れるまで飲んで食べて
今を楽しもうじゃないのよ」
その後は旅館の大広間で「ソフト・オン・デマンド」も
目を覆いたくなるような大乱交パーティーの開催。
♪貴様と俺とは 同期のチ0ポ♪の大合唱の中
辰兄の本領発揮です。
止めに入る女将さんまでも餌食となって やりたい放題。
画面全体にボカシが入って殆ど見えない!!
そんな、最後の人生を 戦争で抑圧されていた青春の
溜まり溜まった鬱積を晴らすがの如く、大乱交は続きます。
唯一、女を抱かず じっとしていた恒さんは 見事
かつてないほどの吐血をして、死んでしまいました。
デビュー作「陸軍残酷物語」で、軍隊の中の
いじめ リンチを赤裸々に描き、右翼からもう抗議で
上映中止になった佐藤純彌監督が、一貫して描いていたのは反権力。
舞台がヤクザ映画になってもその姿勢は変わりませんでした。
しかし、この映画の登場人物は誰ひとりとして
まともな人間が居ません。
救いようの無い人間の救いようの無い映画。
結局、いつの時代も戦争を起こすのは男達。
死んだ男も、生き残って帰って来た男も英雄ですが
生きるために米兵相手の売春婦となった女達も相当数居たようです。
生き残った揚句がこのザマです。
そのような何とも言えない後味の悪さがこの映画最大の魅力です。
ハッキリ言って 東映実録映画で「仁義なき戦い」以上の傑作です。
撮影の仲沢半次郎さんは本来、深作監督と京都で
「仁義なき戦い」を撮影する予定でしたが、
京都勢の猛反対にあい、結果、京都の吉田定次さんに変更となりました。
この仲沢カメラマンの技法こそが「仁義なき戦い」の原点。
本当に、仲沢カメラマンが「仁義なき戦い」を撮影していたら
もっと深作監督の意見を更に進化させ、より凄い映像に
構築してくれたはずです。
東京勢の京都への鬱積払しの様な映画とも思われます。
「東京舐めんなよ!!」辰兄 東京~京都 大活躍の1年でした。
アンナちゃんが見ていない事を祈ります。
教えていただき、押し入れからVHSを引っ張り出して
本当に久しぶりに鑑賞した。
初めて夜中に一人で見た20数年前の、見終わった後の
俺は何も悪い事をしていないのに、罪悪感を感じ
後味の悪い思いがしばらく消えなかったおぞましい映画。
なんでこんな惨い映画が『成人指定』にならなかったのが不思議!!!
内容と言えば、復員後、早々に中国人やくざと喧嘩になり重傷を負った安藤昇。
言わずと知れた、昭和30年代の渋谷を縄張りとした「東興業」後の『安藤組』
組長となる元・本職。
パンスケ{町の売春婦}に「幾らだ?」と聞いたところ
「戦争で負けたくせに!アタイは米兵しか相手しないんだよ」と
罵られ「好きで負けたんじゃねー」とパンスケを空き地に引きずり込み
青空の下で強姦。米兵二人に見つかり、ボコボコにされた辰兄。
戦前からの地元の博徒、葉山良二
しかし、本当の主役は・・・・・・・・・
渡瀬の恒さん!!
しかし、セリフはホンノ数行。
復員してきたのに、女房は黒人米兵の売春婦になっていた。
階段の下から聴こえてくる妻のあえぎ声を耳で塞ぎ発狂寸前の恒。
その恒を見つけた女房は一瞬喜びの表情を見せるが
その現実を理解する間もなく、恒は烈火の如く女房を殴る殴る。
しかし、その横には、黒人との間に生まれた私生児が!!
「それだけは辞めて」と泣き狂う女房の言葉など、聞えるわけは無く、
2階の窓から下に子供を投げ捨て、女房を下に引きずり出し
溜め池の様なところで、女房の頭を何度も石で叩いて殺す恒さん。
女房のペンダントが割れ、その中には恒さんの写真が・・・・・・
安藤・辰兄・葉山が意気投合し、その各人の子分を合わせて
「銀座警察」と恐れられた、実在の組織の誕生と崩壊を
アナーキーに描いたもの。
当時、銀座を支配していた待田京介に辰兄が喧嘩を売る。
そして、京介の舎弟を辰兄が脅してスパイにさせる。
脅す工程が辰兄らしい。その舎弟が面倒を見ていた
母子家庭の女学生を舎弟の前でレイプし
「コノ女 パンスケにさせても良いのか?」
仕方なく辰兄のスパイとなった京介の舎弟は情報屋に。
そんな時、落ちている食べ物を拾い漁っていた恒さんが
パンスケと衝突して小競り合いに。
パンスケと一緒にいた黒人兵の顔と、女房の私生児の顔がクロス、
唐突にナイフで黒人兵の顔を斬りつけ、MPに追われる恒さん。
逃げ込んだのが先が悪かった。葉山のアジト。
「これやれば元気になる」とヤクの洗礼。
次第にヤク欲しさに葉山の殺人マシーンと成長する恒さん。
先ずは京介の舎弟が京介をおびき出し、恒さん 京介を射殺。
その頃、辰兄は葉山のアジトで京介の愛人をレイプした時の
話しを面白おかしく解説。
「最初からあっちこっち涎垂れまくりでよ 膝小僧が擦り切れるほど
ワンワンスタイルでやってよ こっちの身が持たなかったぜ」
警察が乗り込んできて「お前ら、1時間前はどこでなにをしていた」と
聞かれれば「ワンワンスタイルの話しで盛り上がってましたぜ」と能天気。
その後、銀座を制圧した彼らでしたが、あくどい事で私腹を肥やす
内田朝雄と田口計が葉山に月5万で後ろ盾になって欲しいと頼みます。
機嫌良く了解する葉山でしたが、今度は安藤の一派が
内田と田口が公金を横領している事実を掴み「500万だせ」と恐喝。
内田から安藤一派の話しを聞いた葉山は激怒し
殺人マシーン 恒さんに安藤の狙撃をヤクで命令しますが
ヤク立たずに終わり失敗。
恒さんは全身ナイフでめった刺し その後銃弾を体中に浴び
仕上げに生き埋めにされます。
誰もが恒さんが死んだと思っていましたが・・・・・
ゾンビのように這い上がります。
葉山は子分に「タバコ買ってこい」と命じ、お金の催促をされて
激高し、嫌がる子分と一緒にアメブロでお馴染み「掘田真三」さんに
ヤキを入れる程のセコイ男。
一方の安藤は、子分の小林稔侍の誕生日の皮靴をプレゼンするほどの
大物ぶりで子分から慕われ、稔侍の恋人、藤浩子が妊娠しているのを
見抜いて「直ぐに結婚しろ」と豪華披露宴を開催。
因みに写真 一番左は「タコ八郎」さんです。
しかし、その祝いの場に恒さんが乱入し
安藤、稔侍、そして新婦の浩子までも射殺。
純白のウエディングドレスが真っ赤に染まります。
そして、恒さんも恒例の大吐血 が死にません。
安藤一派が壊滅し、辰兄と葉山は、内田と田口から金を引き出そうと計画
「500万持ってこい」と脅します。
しかし。実際には450万しかなく、「50万位いいじゃないか」と
宥める辰兄の意見も聞かず、葉山は更に二人をボコボコに。
熱湯たぎる鍋の中に内田の手を入れたり
おぞましいリンチの場面がフリージャズの音色の中繰り広げられます。
「解った もう500万出すから許してくれと」嘆願する田口。
明日まで持ってこい 約束だ」と言う葉山。
しかし、辰兄は内田と田口が目と目で合図している所を見逃しませんでした。
「おい おまえら本当は幾ら公金を流用したんだ」
「3千万円です」「本当か」
「嘘じゃありません 本当です」
追加の500万円を持ってこさせるため、田口を釈放。
しかし、翌日の新聞の一面には、田口の写真と
「公金1億流用」の見出しが。田口は自首してしまいました。
怒った葉山と辰兄 内田に金のありかを問いただしますが
「ワタシ シラナイ アンタタチ タイホサレル」
投げ飛ばされる内田 なんと大切な恒さんのヤクが入った
瓶がヤク共々粉々に・・・・・・
怒った恒さん 内田を殴り殺します。
死体は豚小屋の中に放り込まれ、美味しそうに内田の
肉を食べる豚さん達。
故・内田朝雄の俳優人生で、最も惨めな役柄ですが
そこはプロ 食べられるシーンも一切手抜きなしで
豚と戯れています。
逮捕される事が決定的になった葉山 辰兄 その子分達。
450万の入った金庫の前で『組の再建資金にする』と
金庫から離れない、自分の事しか考えない性格の悪さを改めて露呈。
一方の辰兄は「こんなの牢屋に入ったら紙くずだぜ
今の内、やりたいだけやって、腹膨れるまで飲んで食べて
今を楽しもうじゃないのよ」
その後は旅館の大広間で「ソフト・オン・デマンド」も
目を覆いたくなるような大乱交パーティーの開催。
♪貴様と俺とは 同期のチ0ポ♪の大合唱の中
辰兄の本領発揮です。
止めに入る女将さんまでも餌食となって やりたい放題。
画面全体にボカシが入って殆ど見えない!!
そんな、最後の人生を 戦争で抑圧されていた青春の
溜まり溜まった鬱積を晴らすがの如く、大乱交は続きます。
唯一、女を抱かず じっとしていた恒さんは 見事
かつてないほどの吐血をして、死んでしまいました。
デビュー作「陸軍残酷物語」で、軍隊の中の
いじめ リンチを赤裸々に描き、右翼からもう抗議で
上映中止になった佐藤純彌監督が、一貫して描いていたのは反権力。
舞台がヤクザ映画になってもその姿勢は変わりませんでした。
しかし、この映画の登場人物は誰ひとりとして
まともな人間が居ません。
救いようの無い人間の救いようの無い映画。
結局、いつの時代も戦争を起こすのは男達。
死んだ男も、生き残って帰って来た男も英雄ですが
生きるために米兵相手の売春婦となった女達も相当数居たようです。
生き残った揚句がこのザマです。
そのような何とも言えない後味の悪さがこの映画最大の魅力です。
ハッキリ言って 東映実録映画で「仁義なき戦い」以上の傑作です。
撮影の仲沢半次郎さんは本来、深作監督と京都で
「仁義なき戦い」を撮影する予定でしたが、
京都勢の猛反対にあい、結果、京都の吉田定次さんに変更となりました。
この仲沢カメラマンの技法こそが「仁義なき戦い」の原点。
本当に、仲沢カメラマンが「仁義なき戦い」を撮影していたら
もっと深作監督の意見を更に進化させ、より凄い映像に
構築してくれたはずです。
東京勢の京都への鬱積払しの様な映画とも思われます。
「東京舐めんなよ!!」辰兄 東京~京都 大活躍の1年でした。
アンナちゃんが見ていない事を祈ります。